NPO法人ともに生きる街ふくおかの会: 10月 2019

2019年10月28日月曜日

12月の九日連研修会のお知らせ

 就学・進路相談会に続けてのアップです。
 ともいき会員の川邊さんより、九日連の研修会のご案内をいただきました。
 『中学生のにほんご』の編著者である志村ゆかり先生をお招きした研修会とのことです。
 ご関心のある方は、案内チラシをご確認の上、お申し込み下さい。
画像をクリックすると、案内をPDFでダウンロードできます。

<2019 年度 12 月 九日連研修会>
外国につながりのある生徒のための日本語支援のあり方について
~『中学生のにほんご』を例として~

講師:志村ゆかり(関西学院大学日本語教育センター 日本語常勤講師)
日 時 : 2019 年12月7日(土) 13 時~16 時半(受付開始12時半)
場 所 : 福岡女子大学講義棟C101(小ホール)
         福岡市東区香住ヶ丘1-1-1
定 員 : 70名(先着順。定員になり次第締め切ります。)
参 加 費 : 1,000 円(資料代として、当日受付にてお支払い下さい。)
お問い合せ:九日連事務局 E-mail:kyunichiren1989@gmail.com
お申込み:https://kokucheese.com/event/index/576751/
主催:九州日本語教育連絡協議会



就学・進路相談会2019(第2回)が無事終了しました!

 日中は秋晴れのようなすがすがしい空が広がっていますが、朝晩はずいぶん肌寒く、季節が移ろいゆくのを感じる今日この頃です。
 さて、昨日27日(日)に、今年度第2回の外国にルーツを持つ子どものための就学・進路相談会を無事終了しました。昨年同様、第2回の相談会は福岡YWCAさまの会館を会場に行いました。
 福岡YWCAのみなさま、当日ご協力いただいたみなさま、広報等にご協力いただいたみなさま、誠にありがとうございました!

①参加者数
 相談者は3家族7名及び担任教員1名の8名、要員(ともいき会員、福岡YWCA、通訳者、福岡市JSL日本語指導教育研究会の先生方)26名、そしていつも広報にご協力いただいている西日本新聞社から1名のご参加があり、総勢35名が集まりました。

②相談内容
 日本の教育制度を保護者に理解してほしいといった話や、大学進学を見越しての進路選択などについて相談が行われていました。また、8月に開催した第1回の相談会に来場し、そこでのアドバイスを元に進路先をある程度定めて、今回また相談に来られたご家族もいらっしゃいました。

③参加者の反省・感想
 今回は周知活動が十分でなく、来談者が少なかったのは残念でした。
 しかしながら、その分、当日集まったメンバーでゆっくりと交流ができたのではないかと思います。
 周知の仕方も、今回初めて通訳参加をされた方から、外国人家庭が転入手続きをする際に受け取る案内に含めてはどうかなど、具体的な提案をいただきました。
 次年度以降の在り方も含めて、検討していきたいと思っています。

 今年度の相談会はこれで終了ですが、みなさんのお近くに外国ルーツの子どもや保護者が教育のことや子育てのことに困っていらしたら、是非ともいきまでお問い合わせ下さい。
 次年度も相談会は開催いたしますので、引き続きご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

2019年10月24日木曜日

相談会の告知記事が西日本新聞に掲載されました!

 朝晩とだいぶ肌寒くなり、今朝は雨がひどかったですね。
 さて、今回も西日本新聞社さまのご協力により、本日の朝刊に相談会の告知記事を掲載していただきました。
 福間記者、ありがとうございます!

10月24日(木)朝刊
「外国ルーツの子の就学・進路相談会」

やさしい日本語でも、記事を掲載して下さっています!
【やさしい日本語】がいこく から きた ひと の ための、がっこう や きょういく の そうだんかい

 情報を必要とされている方、日本での子育てや教育に悩んでいらっしゃる方など、みなさんのお近くにいらしたら、ぜひご案内ください!

詳しくは、こちら

2019年10月1日火曜日

本の紹介(2019.10)

 9月はほぼブログのアップができず、本の紹介自体も4月以来…という状態ですが、先日のともいき例会でもご紹介した本です。
 外国につながる子どもに関わる方々は、是非手に取ってみてください。
 あっという間に世界に引き込まれて、一気に読める本です。

温又柔(2019)『「国語」から旅立って』新曜社

 話題になっていながら、なかなか読めておらず、夏休みにようやく読んだ本です。
 外国につながる子どもたちに関わっている方が手に取れば、「そうそう!」と納得したり、今関わっている子どもの思いに考えを巡らせたり、とても素敵な本です。
 また、外国につながる子ども自身が読むことができれば、励まされるのではないかな、とも思います。
 台湾出身の著者が記す、家庭での台湾語、家庭の外の日本語、自分が信じていた母語が「中国語」ではなく、「中国語」が別にあると知ったときのこと、自分が取り戻そうとしている「ことば」はいったい何だったのだろうと考えたこと、などなど。
 そして、彼女の母が、ママ友に「中国語も教えればいいのに」と言われたときに、彼女に語った「どちらも、は望まない。むしろ、どちらも中途半端になったらかわいそう。それなら、どちらか一方だけでいい」という思いも響きます。
 知人の家族で無理に両言語を教えようとした結果、学校では日本語がヘンといわれ、親からすると中国語もたどたどしく聞こえ、どんどんと無口になる知人の娘。そうした思いや苦労を娘にさせたくなかった親の気持ちが痛いほど伝わります。
 学校生活で仲間たちが「日本人とか台湾人である以前にオンちゃんはオンちゃんなんだもん」と語ることが、彼女を支えてきたこと。
 繰り返し思い出される小学1年生のときの先生の指導の仕方も、とても印象的です。



ナディ著、山口元一解説(2019)『ふるさとって呼んでもいいですか―6歳で「移民」になった私の物語』大月書店

 こちらの本も話題になり、新聞の書評欄でも取り上げられたりした本です。
 イランから一家5人で来日し、不法滞在状態を続けながら、在留特別許可を得るまで、そしてそれからなど、ナディさんが自分と自分の家族の物語をわかりやすく書いています。
 日本語が分からず、「ニコッ」「ペコリ」で乗り切った最初の頃、まわりの大人たちの見守り、日本人との関わり、学校で学ぶようになってから、ムスリムとしての学校生活、11年ぶりの祖国への帰国と違和感、アイデンティティの悩みなど、さまざまに描かれています。
 そこに描かれる日本人もあたたかな人々です。
 「ベイビー、ベイビー」と言いながら子どもだけで留守番をするのを気にする日本人の隣人、自分の子どもの分だけでなく、ナディさんたちの分もおやつを用意してくれる公園での仲良くなった子の母親など、たくさんの大人の姿も描かれています。
 あるときナディさんが日本人の男の子たちから嫌がらせを受け、日本語の分からない彼女の母親はそれでも男の子の家に乗り込みます。対応したその子の父親は、母親のペルシャ語とそれを通訳するナディさんのことばに耳を傾け、自分の子どもをしかります。そして、一緒に嫌がらせをしていた他の子どもたちの家に、ナディさんと母親とともに回っていきます。
 外国人とか日本人とか関係なく、地域で一緒に子どもを育てる、そんな様子がうかがえます。
 父親のことを取り上げたコラムでは、父親が町内会の会長をしていたエピソードがありました。日本語を話せても、読み書きができない父親が他の人の助けを借りながら役割を果たしていく姿、自分は豚肉以外であってもお祈りを捧げた肉しか口にしないのに、祭りで焼き鳥を焼き、売り切ったことなど、地域のなかに溶け込んで生活している様子が描かれています。
 日本を「自分が帰る場所」と思っているナディさんは、これからそうした外国人がもっと増えるだろうと記しています。
 私たちのまわりにも、福岡を自分の帰る場所として大切にしてくれている人々がたくさんいます。そうした人々に何ができるのか、改めて考えを巡らせました。



 少し過ごしやすくなった秋の夜のお供にしてはいかがでしょうか♪