日々が慌ただしく、4月も本の紹介ができていなかったので、なんとか5月は…と思い、本の紹介です。
木下寛子(2020)「共に生きるってどういうこと?―多文化状況の日常場面から考える『共生』―」、川島大輔・松本学・徳田治子・保坂裕子編『多様な人生のかたちに迫る発達心理学』ナカニシヤ出版
福岡市のある学童の場を舞台とした共生の日常を描いています。ムスリムの子どもを受け入れることになってから、それまでの学童の日常がどう新しい日常となっていったのか。「おやつ」の時間をめぐって、学童を見守る大人とそこで過ごす子どもたちの日常があたたかく描かれています。
こうした事例から、筆者は「共に生きる」ことの要件として、「重要なのは、それまでの日常において大切にしていたことを新たな他者との出会いのなかでも大事にできるように、持ちうる力と知恵を最大限発揮することだけだった。それはつまり、私たちが日々を生きるあり方そのものが、多文化状況の日々における「共に生きる」ことの基礎になるということに他ならない」(136頁)と述べています。
新たな他者と出会ったときに、私たちが日常で大切にすること、他者が大切にすること、双方を大切にしながら、それを共有できたとき、そしてそれが日常になったとき、筆者の述べるように「共に生きる」ことを基礎を作りだせるのかなと感じました。
松村圭一郎(2020)『はみだしの人類学―ともに生きる方法―』NHK出版
文化人類学の立場から、「違い」を乗り越えてともに生きるための技法を考えるといった内容のとても読みやすい本です。
ともいきで取り組んできたことを考えて、共感したのは、「共鳴のつながり」と筆者が呼ぶものです。筆者はそれを「他者と交わるなかでお互いが変化するようなつながり方」(94頁)と定義しています。そして、「共鳴のつながり」は、「予想外の出来事や偶然の出会いで変化が生まれることを、みずからの糧にします。自分の生まれ育った世界とは違う世界を生きる人や違う価値観の人との出会いをみずからの『喜び』に代える姿勢」(103頁)でもあると述べています。
本書の最後には、筆者が文化人類学を学ぶなかで手にした実感として、次のように述べています。
「『わたし』や『わたしたち』が変化するからこそ、周囲の人や環境も、自分自身もあらたな目でとらえなおすことができる。脅威に感じられた差異が可能性の差異に変わる。それこそが、さまざまな差異に囲まれ、差異への憎悪があふれるこの世界で、他者とともに生きていく方法なのではないか」(104頁)。
このように言語化されたことは、多文化住民との関わりのなかで、地域の日本語教室のなかで、隣人として生きる私たちの日常のなかで感じていることとつながるな、と思いました。
日本語教育でも言語教育でも、教育の本でもありませんが、違った角度から日々の実践を捉えるためにもオススメの1冊です。
多様な文化的背景を持つ人々がともに認め合い、尊重し合って豊かに生きられる多文化共生の街を実現することを目標に2001年度より活動を始め、2016年度にNPO法人になりました。活動の紹介やさまざまな情報をお知らせするブログです。
2020年5月28日木曜日
2020年5月22日金曜日
特別支援が必要な子どものためのコンテンツ
先日、特別支援が必要な子どもたち向けのコンテンツをまとめた津田塾大学の取り組みが新聞で紹介されていました。
Facebookではすでに共有しましたが、ブログにもアップします。
津田塾大学
「学びの危機」Counter Learning Crisis Project―障害のある子どもたちの「学びの灯」のために―
この間、多様なニーズを持つ子どものための学習コンテンツについて、さまざまな発信がなされています。
子どもの多様なニーズにあったコンテンツと出会えれば、少しずつではあっても学習が進んでいくのではないかと思います。
Facebookではすでに共有しましたが、ブログにもアップします。
津田塾大学
「学びの危機」Counter Learning Crisis Project―障害のある子どもたちの「学びの灯」のために―
この間、多様なニーズを持つ子どものための学習コンテンツについて、さまざまな発信がなされています。
子どもの多様なニーズにあったコンテンツと出会えれば、少しずつではあっても学習が進んでいくのではないかと思います。
2020年5月17日日曜日
文部科学省「子供の学び応援サイト」
文部科学省のHPに「子供の学び応援サイト」ができています。
開設当初は、一般的な学習コンテンツに関する情報を集約していましたが、外国に繋がる子ども向けのページもできています。
文部科学省HP
子供の学び応援サイト
外国につながる子供の学び応援リンク集
「外国につながる子供の学び応援リンク集」は、支援者向けのリンク集です。
外国につながる子どもの支援に携わっていらっしゃる方は、是非ご覧下さい。
福岡も緊急事態宣言が解除され、分散登校も始まっていきますが、まだまだ気が抜けないところです。
そうしたなかでの支援の参考になればと思います。
開設当初は、一般的な学習コンテンツに関する情報を集約していましたが、外国に繋がる子ども向けのページもできています。
文部科学省HP
子供の学び応援サイト
外国につながる子供の学び応援リンク集
「外国につながる子供の学び応援リンク集」は、支援者向けのリンク集です。
外国につながる子どもの支援に携わっていらっしゃる方は、是非ご覧下さい。
福岡も緊急事態宣言が解除され、分散登校も始まっていきますが、まだまだ気が抜けないところです。
そうしたなかでの支援の参考になればと思います。
2020年5月12日火曜日
子どもたち応援サイト(京都大学)
京都大学大学院教育学研究科・教育学部の有志が、オンラインでの学習コンテンツをまとめたサイトを作成しています。
JSLの子どもたちに特化したわけではありませんが、オンラインでの学習コンテンツにどういったものがあるか分からない、知りたいと言う方、たくさんの選択肢から子どもに合わせて使いたいという方は、是非参考にしてください。
子どもたち応援サイト趣旨説明リーフレット(PDF)
子どもたち応援サイト
JSLの子どもたちに特化したわけではありませんが、オンラインでの学習コンテンツにどういったものがあるか分からない、知りたいと言う方、たくさんの選択肢から子どもに合わせて使いたいという方は、是非参考にしてください。
子どもたち応援サイト趣旨説明リーフレット(PDF)
子どもたち応援サイト
2020年5月11日月曜日
特別定額給付金について
先日、私の入っているメーリングリストで情報共有がなされていたのですが、総務省のHPに特別定額給付金についての多言語案内がアップされています。
また、申請書の書き方の案内が以下のサイトにあります。
動画で書類が示されながら説明が進むので、分かりやすいと思います。
こちらも多言語(12言語)のものです。
(リンク先の下の方に進むと、見つけられます。)
必要な方にお知らせ下さい。
総務省HP 特別定額給付金に関する各種ご案内
また、申請書の書き方の案内が以下のサイトにあります。
動画で書類が示されながら説明が進むので、分かりやすいと思います。
こちらも多言語(12言語)のものです。
2020年5月9日土曜日
災害時に便利なアプリとWebサイト(内閣府HP)
今日は雨ですね☂
メーリングリストで、内閣府が作成した「災害時に便利なアプリとWebサイト」の多言語情報について案内がありました。
日本語を含めて15言語です。
これから徐々に雨の季節になっていきますが、災害が起こらないことを祈るばかりです。
内閣府HP「災害時に便利なアプリとWebサイト」
メーリングリストで、内閣府が作成した「災害時に便利なアプリとWebサイト」の多言語情報について案内がありました。
日本語を含めて15言語です。
これから徐々に雨の季節になっていきますが、災害が起こらないことを祈るばかりです。
内閣府HP「災害時に便利なアプリとWebサイト」
登録:
投稿 (Atom)