外国人関係の本が多々出版されていて、なかなか読む方が追いつきませんが、ご紹介です。
NHK取材班(2019)『データでよみとく外国人”依存”ニッポン』光文社新書
NHKのニュースでもいろいろと報道されていたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。
「外国人労働者」と「他人事」として捉えるのではなく、わたしたちの社会がどれほど外国人によって支えられているのか、「依存」ということばを用いて議論を喚起しようとしています。ともいきの活動で大きく関わるのは、子どもたちや家族ですが、第3章「「人生」「家族」として考える外国人“依存”」で扱われています。
具体的なデータを用いながら、そして取材現場の話を交えて書かれているので、読みやすいと思います。あえて言うならば、データと取材に基づきあぶり出される課題に対し、外国人との関わりのなかで生まれる前向きな取り組みや展望にももう少し光が当たると、外国人支援の現場で活動の参考になったと思います。
変化になかなか政策が追いつかない…というもどかしさは、さまざまな現場で外国人と関わる人々が共通に抱えるものだと思います。日本語教育推進法の具体化が議論されるに伴い、政策においても前進が見られることを期待したいです。
アルク(2019)『復刊 日本語』
日本語教育関係の方は、『月刊 日本語』や『日本語教育ジャーナル』を講読されていた方も多いと思います。休刊していましたが、今回、アルク創立50周年を記念し、復刊させたのがこの雑誌になります。
現場で専門性と日本語力を生かして働く方のお話しや日本語教育施策に関する情報が多岐にわたり掲載されています。また、データもいろいろと示されているので、こちらも読みやすいものとなっています。
ともいきシンポにご登壇いただいた田尻先生も、「特別コラム 田尻英三のオピニオン~気になる3つの動き~」を執筆されています。(個人的にものすごく懐かしいです!)
是非、手に取ってみて下さい。
「社会言語学」刊行会(2019)『社会言語学』XIX号
こちらにも田尻先生が寄稿(「外国人労働者の受け入れに係る日本語教育施策―「日本語教育推進に関する法律」成立までの経過―」)されています。
ひつじ書房から2017年に出版された編著『外国人労働者受け入れと日本語教育』以降、日本語教育推進法成立までを追ったものとなっています。こちらも是非ご覧下さい。
他にも興味深い論文もありましたが、個人的には、ましこ・ひでのりさんの書評を読みながら大きくうなずくところもあり、こちらも非常に興味深いものでした。これは、牲川波都季編、有田佳代子・庵功雄・寺沢拓敬著(2019)『日本語教育はどこへ向かうのか―移民時代の政策を動かすために―』(くろしお出版)に対する書評と、編者及び著者からの応答からなっています。
『社会言語学』XIX号はこちらから
あっという間に12月も下旬になりますね。
少し早いですが、みなさま、どうぞ良い年末年始をお過ごし下さい!