ブログの記事として「本の紹介その2」をする予定はなかったのですが、忘れてしまいそうなので、最近読んだ本をアップします。
望月優大(2019)『ふたつの日本―「移民国家」の建前と現実―』講談社現代新書
この間の入管法改正の背景となる労働力不足を日本がどのように補おうとしているのか、技能実習、特定技能の在留資格をわかりやすく述べています。在留外国人の数に加え、「帰化者」や国際児、オーバーステイの人までカウントすると、約400万人超という数字を提示しています。この状況から「移民政策を取らない」と言い続けることができるのか?現実を捉える重要性を提起しています。また、「統合」について議論されないことの問題性も指摘されています。
多様性を受け入れるならば、受け入れる社会もそのあり方を変えていかざるをえないということを真摯に受け止め、「ともに生きる」ことを考えていく必要があると強く感じます。
浅川晃広(2019)『知っておきたい入管法―増える外国人と共生できるか―』平凡社新書
外国人がどういった滞在資格で日本に滞在しているのか、数ある滞在資格をわかりやすく解説しています。これまでのともいきの勉強会や相談であがってくる滞在資格のこともあり、そうだったな、と復習しながら読みました。
ともいきに行政書士の方がいらっしゃるのは、強みだなとつくづく思います。
出井康博(2019)『移民クライシス―偽装留学生、奴隷労働の最前線―』角川新書
この本はまだ読み進めている途中ですが、丹念な取材を基に書かれており、どんどん読めます。新聞奨学生については大学でも話題になったりしますが、留学生を対象とした新聞奨学金もあり、その実態はかなり厳しいものです。また日本語学校の問題(これは1月のシンポで田尻先生も簡単に触れていらっしゃったかと思います)なども描かれます。
個人的には、(これまで読み終わった範囲では)『新移民時代』をなぜ西日本新聞が世に出せたか、というところが「なるほど」と思わされました。