NPO法人ともに生きる街ふくおかの会: 本の紹介(2019.04その3:単行本)

2019年4月21日日曜日

本の紹介(2019.04その3:単行本)

 立て続けのアップです…
 大型連休のお供に、手にとってみてもよいかと思います。

安田浩一(2019)『団地と移民―課題最先端「空間」の闘い』角川書店

 安田浩一さんの外国人労働者や差別を扱った本は、とてもわかりやすくまとめられています(例えば、『学校では教えてくれない差別と排除の話』皓星社、2017年など)。『団地と移民』もそうで、読み進めながら、ともいきで関わりのある地域を念頭に「そうそう、その通り」と思うことばにたくさん出会います。
 少しご紹介します。

「本当の問題は、日本人も中国人も、互いの存在に無関心であることではないのか」(86頁)
「人種間というよりは、世代間のギャップなんですよ。高齢者ばかりの日本人と、働き盛りの中国人では、どうしたって交流の機会が少なくなる。接触がなければ相互理解だって進まない」(87頁)
「違いを理解したうえで、普通に付き合えばよいだけなんですよね。同じ地域でともに生きているのだという共通点こそ重要なのではないでしょうか。」(98頁)

 安田さんがインタビューした団地の人々のことばは、本当にその通りだなと思います。こうしたことを「当たり前」と思うことの感覚を研ぎ澄ませたいです。



内藤正典(2019)『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?』集英社

 4月1日のブログでもご紹介した内藤正典先生の本です。
 「外国人労働者」、「移民」、「難民」の違いをとてもわかりやすく説明されています。今の日本の状況を「60年前のドイツ」と表していますが、私もまったく同じ印象を持っています。
 ムスリム系の移民が増えることで日本でも起こりうることを、教育現場との関わりで言及されている箇所がありますが、福岡はもうすでに生じていて、ある意味柔軟に対応しているなと思いました。
 最後の「第8章 外国人と仲良くなろう」では、共生の難しさや同化主義も多文化主義も共生の唯一の正解にはならないとの指摘もあります。
 個人的には、同化主義でも多文化主義でもなく、ヨーロッパで実践を支える異文化間主義という考え方が、どのように日本で生かされるかを考えてみたいと思います。


 
 5月以降、なかなか本の紹介ブログが書けないと思いますので、みなさまからもお勧めの本があれば、是非ご紹介ください!