NPO法人ともに生きる街ふくおかの会: 学びの場としての夜間中学の推進について―講演会に参加してきました―

2017年2月23日木曜日

学びの場としての夜間中学の推進について―講演会に参加してきました―

 吉谷代表理事より、夜間中学に関する勉強会に参加した参加記が届きました。
 
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 神奈川県川崎市であった夜間中学校に関する勉強会(2月4日)に参加してきました。
 少し時間がたってしまったのですが、大事な情報もあったのでご案内します。下記のメモは、文科省が作成した夜間中学校設置の手引きに記されている内容から一部抜粋するなどして紹介します。

 皆さんもご存じのように、戦後、義務教育未修了の方を対象に設置された「中学校夜間学級(通称:夜間中学)」は昭和30年頃には全国に80校程度あったようです。現在は、8都府県25市区に31校設置されています。そのほかに福岡市でも活動を続けている「自主夜間中学校」などがあります。
 夜間中学は義務教育未修了者の学習の場だけでなく、かつては山田洋次監督の「学校」、最近では「こんばんは」などの映画で紹介されているように、不登校の若者や日本の学校に未就学の外国籍者の学びの場としても、貴重な場となっていることが知られています。ただし、上記のように、ごく一部の都府県にしか設置されず、このような学校を必要としている学習者の需要に応えられていないのが現実です。

 これに対して昨年、2016年12月7日、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立しました。議員立法で起案されたこの法律は、「学齢期を経過した者であって小中学校等における就学の機会が提供されなかったもののうちに、就学機会の提供を希望する者が多く存在することを踏まえ、全ての地方公共団体に、夜間中学における就学機会の提供等の措置を講ずることが義務付けられています。」としています。
 要は、中学で学ぶと言うことを希望する人に対して、全ての自治体が何らかの対応をする義務がある(対応の仕方はそれぞれの条件に合わせてOKです。事例も紹介されています。)と宣言し、さらに全ての都道府県には必ず一つは夜間中学が設置されることを狙ったものです。こうした規定が求めることがすぐに実現するかどうかは別にして、上記の就学機会の提供を希望する者としての「多文化住民」にとっても利用可能な機会を提供すべきこと、行政側の「義務」を示したものですから、この法律自体は大いに利用されるべきものです。

 僕が参加した学習会を企画した神奈川県のボランティア団体によると、神奈川県内には2校の夜間中学と2カ所の自主夜間中学があるようです。そして、会に出席した県議会議員、市議会議員らの話では、県教委としてもこうした夜間中学の設置・充実の方策を模索する方向で話が進んでいくようでした。
 いろいろな考え方があり得るとおもいますが、夜間中学になることで、設置基準に基づいた教員配置ができ、就学援助、給食の実施と費用の免除、修学旅行や文具の補助など、様々な支援が実現します。なお、学習会では、設置基準並みではなく、それを越えた教員の配置をするなど、手厚い支援の提供が必要であるとの認識が示されました。その通りだと思います。

 さて、九州地区ではどの県が最初にこの法律に応えて夜間中学の設置に動くでしょうか。
 とも生きのある、そして自主夜間中学の活動が10年以上にわたって続けられてきた福岡市に、いの一番に設置されることが求められます。

 この「手引き」は下記のリンクからダウンロードできますし、リンク先(「中学校夜間学級の推進について」)には、加えて「夜間中学のご案内」ほか沢山の文書が掲載されています。是非、ご一読を!